あんな有貴、初めてだ。 いつも奥で輝きを見せていたその瞳は、黒く淀み、光を見失ってしまったかのよう。 だけどどこかで『助けて』と救いを求めているような、そんな目をしていた。 俺の腕に込められていた力が、ふっと解ける。 そして、何も言わずに歩き出す有貴の一歩後ろを、俺は追い掛けた。