「あの!お兄さん!」
3人組が目を輝かせてそう言った。
その熱烈な視線の先には、有貴のお兄さんが。
「何?」
「握手、して下さいっ」
一斉に深く腰を曲げ、両手を差し出した。
さすがのお兄さんも、一瞬困った表情を浮かべたが、快く引き受けていた。
「有貴がお世話になりました」
と、爽やかな笑みで1人ずつ握手を交わすお兄さん。
「いえ、お世話になったのはこっちです!」
「有貴は、騒ぎすぎる俺達にいつも気を配ってくれたんです」
「お陰で、怒られる回数が減りました!」
嬉しそうに語る3人。
それにお兄さんは頷きながら、興味深げに耳を傾けている。
「君は?有貴の友達かな?」
「…俺、ですか?」
お兄さんの視線が、俺に向けられる。
「流羽、帰ろう」
「えっ、もう帰んの!?」
突然有貴に腕を引っ張られた。
「また来るからさ、じゃあな」
有貴はあいつらにそう言うと、俺の腕を引いて足早に病室を後にした。