「これ、お見舞いの花束」


眩しいぐらいに黄色い、ゴールデンピラミッドの花束を有貴に差し出す。


「わざわざ俺に?なんか悪いね…。でも、すごく嬉しいよ。ありがとう、流羽」


眩しく咲く花の向こうで、笑みを見せる有貴。

その花とは対照的に、それは優しい光を放っていた。


「私からも、お詫びとお見舞いを兼ねて、フルーツを持って来たの。あの、本当にごめんね…」


柚里はそう言うと、頭を下げた。


「香坂さんは悪くないよ、あれは事故なんだからさ。だから頭上げて?」

「小泉くんが無事でよかった…」


頭を上げ、柚里は安堵の笑みを漏らした。


「で、翔くんも来てくれたんだ」

「えっ!?あ、はい!」


ずっと俺の後ろに身を隠すように立っていた翔。

突然有貴に声を掛けられ、あたふたとしている。


「俺さ、花、花瓶に移してくるわ」

「じゃあ、これ」


有貴から一旦花束を受け取る。


「俺だけじゃ不安だからさ、柚里も一緒に来て?」

「…うん!」

「翔は有貴といろよ?」


不安げに俺を見上げる翔の頭を一撫でして、柚里と一緒に病室を出た。