受付を済ませ、有貴が待つ病室に向かう。

受付で聞いた病室の番号は、昨日と違っていた。

そんな中1人、覚束無い足取りの翔。

心なしか、顔色まで悪い。


「翔、気は確かか?」

「兄ちゃん、僕すごく緊張してる…」


手足を同じ方向に出して歩いている。

それぐらい、有貴に会うことに緊張しているらしい。


「翔くん大丈夫?病室に着いたら、皆でフルーツ食べようね」


柚里がにっこりと微笑む。

食べ物で緊張が和らぐほど、翔は単純なヤツではないと思うんだけど…


「フルーツ!?僕ね、梨食べたいな!」

「じゃあ、最初は梨にしよっか」

「うん!柚里ちゃん、ありがとう」


さっきまでの緊張は何処へやら。

前言撤回。

翔は、単純なヤツだ。