駄目だ。

この笑顔には、敵わない。
「…うん。…ただちょっと、爽の顔に見とれちゃって…。やっぱりキレイだなぁ、って…。」

元が綺麗で、笑顔は可愛らしく、時折見せる表情はカッコいい。

そんな、吉岡爽。
そりゃ、火もつくだろう。

「そうかなぁ?更莉ちゃんの方が、キレイだよ?」

「え、えぇッ!?う、嘘だぁ…!!!!お世辞はやめてっ」

更莉は思わず赤面してしまった。

自信が無いわけではない。
確かに、いい方かな、とか、自分でも思ってたりする。
でも、やっぱり、爽に比べたら…。

「本当だって。実際、僕の同業者でも、更莉ちゃんよりちょっとアレな子なんて、いっぱいいるし…。可愛いけど、実は整形してました、なんてザラで、やんなっちゃうよ。」

「リ、リアルだね…。」



プシューッ。



人が流れ込んできた。

どかどかと、人が座る。



…ぎゅう。



爽と、余計近くなった。

…というか、もう密着状態だ。

「ごめん、キツくない?」

「ううん、私は全然。…爽は?」

「大丈夫だよ。」