「あ!電車、出ちゃう!急ご!!」

そう言って、爽は私の手を強く引き、駆け出した。

ヒールが少し走りにくいけれど、歩幅でカバー…なんて言ったら、嫌味かな。



プシューッ。



ガタンゴトン…。



「間に合ったね。」

彼の笑顔は、いつだって、眩しい。

「うん。」

私も、笑い返した。

「この辺に座ろっか。」

「うん。」

隣通しに座ると、爽の顔が、とても近く感じられた。

―…うわ。やっぱ、キレイな顔立ち…まつげ長…肌きれい…。

「…?どうか、した?」

「あ、ううん、何でもないの。」

「嘘だ。」