こんな無関心な男、本当に初めて。

アタシが挨拶をしても無視。
隣に座っても無視。

このアタシが……?


アタシは一番ベタでありきたりな出逢い方を
することにした。

どーしてもこの男と関わりたい!

…彼氏にならなくても。


アタシは講義の資料を
腕いっぱいに抱えて栗原聖に
わざとぶつかった。

「キャ……!」

「あ、悪い。」

あ………。
低くてでもどこか優しい、
そんな声だった。

「ごめんなさい。」

散らばった資料を一枚ずつ
丁寧に拾うアタシと、栗原聖。

ふわっと、sexy boyの香りがした。

たまらない…!

「あ、君もこの講義出てるんだ?」
「あ…うん。」

栗原聖はうつ向きながら
アタシに話しかけてきた。

「そっか。」

女慣れしていないのか?

会話が続かなかった。

ふと、栗原聖の顔を見た。
ふし目がとても素敵…。
なんでこんなに肌、綺麗なんだろう。

「はい。悪かったね」

拾い終わったプリントを
アタシに渡す栗原…くん。

「ありがとう!友華こそ、ぶつかっちゃってごめんね。」

これで終わり?
アドレス聞かないの?
電話番号聞かないの?

アタシはせめて名前だけでも覚えてほしくて
自分の事を名前で言った。

「じゃあ。」
「あ、うん。また…ね、」

情けない………

このアタシが

一人の男にはまるなんて…!