───カランコロン

これまたレトロな鐘のついた扉を開けると
暗ぼったい店内にブラックライトが
よく映えていて不思議な雰囲気だった。

「コンサートって言ってもこんな感じ。イベントみたいな?」
「あぁ…」
「とりあえず席行こっか」

俺達は空いてる2人席に座った。

そこはカウンターに近く、
そこに居た男が安西に話しかけた。

「友華ちゃん!いらっしゃい」
「あ、マスター。こんばんわ」

マスターと呼ばれた男は
こちらの席に向かって歩いてきた。

「お、こっちの彼は友華ちゃんのコレかい?」

マスターは親指を立てながら言う。

「まさか!そーなら良いけど…。大学の友達だよ~」

こんな言葉にさえ、
キュンとしてしまう俺。

でも"友達"……。
一体安西のあの台詞は
どっちの意味でとったらいいんだ?

『付き合いたいけど無理だから友達』?
『告ったけど断られたから諦めて友達』?


「まあ、程々にね。なに飲む?」

程々……?
マスターは確かにそう言った。

「あ、アタシモスコミュール。栗原くんは?」

でも安西は、平然として俺に聞いてきた。

「じゃージントニック。」

いやいや!
今日は忘れよう。

"安西を信じて
どんな安西も受け入れる"
という答えを昨日出したじゃないか。