汰壱がウチに来てから、
アタシは遅刻する事はなくなった。

留年の可能性がある、と言われたアタシが
毎朝まじめに学校に来ている事を
教師達は「青木のお陰だ」と
口を揃えて言っていた。

DVの変わりに留年免除…?

そんな馬鹿げた話があるか…っ

でもアタシ達は
教師も認めた公認カップル。

別れるなんて考えられないし、
何をされるか分かったもんじゃない。

それより何より、
アタシは汰壱を愛しているから………




学校に着くと、すぐ先生に声をかけられた。

「よう!綾瀬、青木!お前等朝からラブラブだな!」

中身を見ようとしない、教師の典型的なタイプ。

「やめてくださいよー」
「まあ、ラブラブですけど…?」

でも、ノリ良く返すのがお決まり。

「ん?綾瀬、目の上どうした?」

絆創膏を貼ってある瞼に気付いたのか
何も知らないこの先生は
暢気な事を言ってきた。

「あぁ、化粧するときメザイク切ろうとしたら瞼まで切っちゃって…えへへ」

アタシは、嘘が上手いな。

「メザイクってアレだろ?今流行りの…二重にするやつ!」
「そーですよっ。」

そんな知ったかぶりはどうでも良い。

気付いてくれ…!

「やぁー美人は大変だなぁ!あはははっじゃあな。」

アタシはまたほっと胸を撫で下ろした。

そんなアタシと教師のやり取りを
ニコニコしながら見ている汰壱に
少し恐怖感を覚えた。