タカアキの声を遮って、
遠くからアタシを呼ぶ声がした。
聞き間違える筈がない、声の主。
アタシが初めて
愛を感じた人。
「何してんの?」
……汰壱。
「あ、えと…」
嫌な予感が当たった。
「あんた誰?」
汰壱は近づいてきて否、
タカアキに鋭い言葉を向けた。
「さくらの、初客?」
喧嘩を売るように、
タカアキが汰壱に言った。
「はっ……」
まずい…!
誤解しちゃう…!
初体験の相手だと思われたら
たまったもんじゃない。
「違うの!汰壱……こいつは、」
「「こいつ?」」
汰壱とタカアキの声がかぶった。
「え……」
タカアキに手を握られたままの状態のアタシに
言い逃れなんて出来るのか……?
「た、タカアキは!たまたま会って…その」
「そんな事どうでも良いから俺のモノ触んないで。」
汰壱はタカアキの手を見ながら言った。
───ドクン
また……
"俺のモノ"という言葉に
反応してしまうアタシの心臓。
「モノ……?」
タカアキがアタシの腕を話して
汰壱に言った。
「そう、俺の。」