「あの完璧な姿の中の欠けた部分に」

切った角砂糖をぴったりと合わせたと思えば、人差し指で軽く弾き、また2つに分ける。

「人は無い物を欲しがるわ。完璧になりたくて」

「そうね……」

途中、すっかり話にのめり込んでいることに気がついた私は声を下げる。

それに気がついたのかそうでないのかはわからないが、彼女は小さく笑ってから続けた。

「おかしいと思わない?完璧よりも、どこか1つでも欠けている方が魅力的なのに」

完璧になろうとしている人間の私はおかしい、と思いながら口に出すことが出来ない。