「真佐志?」

隆志の声に、ハッと我に返った。



「あっ、いや……何も聞いてないけど?」

さっきの返事をすると、隆志は『はぁ』と小さくため息をついた。



「そっか……なら、いいんだ」

そう呟く隆志。





俺はまだ小学生の頃、僚二と一緒に大学生のバスケの試合を観に行った。

そこで初めて観た『沖野涼』と言う選手のプレーに、一目で憧れた。



攻撃的なのに独り善がりではなく、『後ろにも目が付いているのでは?』と思わずにはいられない、正確なパス回しと判断力。