「月の乙女達は、母親の元を訪れて迎え入れてもらうことが出来れば、もう一度子供として生まれることが出来るんだ。
………だけど子供を亡くした母親に、もう一度迎え入れてもらえることは少ない。
まして、抱いてもらった事もないんじゃ、な。」


ぶっきらぼうに皎は言います。


けれどもそれは。


湿っぽい話をわたしに聞かせたくないという、皎の思いやりのような気がしました。


「そうなの。」


わたしは短く答えて窓辺へ歩み寄り、今は晴れ上がっている夜空を見上げました。