「………そう、期待じゃなかったの。
今度こそっていう、淡い気持ちしか抱かないことにしていたもの。」


少し諦めたような。


だけど諦めきれないような、そんな感情が見え隠れする口調でミウは続けた。


「うちに着いたあたしは、ベランダの外からうちの中を覗いたの。
居間には、パパと弟が遊んでいたわ。
そしてママは。
………ママは、そんなふたりを見て笑っていた。
あたしは、一生懸命呼び掛けたわ。
ママ!
ママ!
あたしはここよっ!
お願いっ!
名前を呼んで!
あたしの名前をっ!」