少し遠いところを見るような瞳をして、ミウは話し始めた。


「一年ぶりに地上に降りたあたしは、また様子の変わっている地上の様子なんかには目もくれないで、うちを目指したわ。
そう。
あたしの、うち。」


そこでギュッと手を握りしめたミウの心の内が、俺には少し解った。


どうしても、自分のうちだと主張するときに覚えてしまう葛藤のような感情が、俺の中にもあるように、ミウの中にもあるんだろう。


「月の世界から、まっすぐにうちに向かったの。
今度こそ、そんな気持ちを抱いて。」