窓の外から。


そんな所から聞こえてくるはずなどないのです。


わたしの部屋の窓は、高層マンションの38階にあるのですから。


普通の人間に、窓の外から声をかけるという芸当ができるとは思えません。


おそるおそる、わたしは窓際へと歩み寄り、そっと外を覗いてみました。


「こっちだってーの。」


その言葉に、わたしは心臓を鷲掴みにされたような気持ちになりながら、声の主を探して窓の外を見ました。