「きゃあっ!」


それは、思わずわたしが悲鳴を上げてしまっても、仕方のない状況でした。


ですけれど突然現れてわたしを心底驚かせてくれた、その人物は悪びれることなく言ってのけたのです。


「会いに来ると約束していた俺が、ちゃんと今夜会いに来たっていうのに、そんな態度でのお出迎えってのはないんじゃないのか?」


笑いを含んだ表情で、意地悪な事を言いながらその人物は何もない空間を渡って、わたしに近づいて来ます。