「ごめんなさい。」


わたしは、いたたまれずに、皎に謝罪しました。


しかし、彼は今度は本当の笑みを浮かべて、わたしの頬に唇を寄せました。


「あやまらなくて、いい。話すと決めたのは、俺だ。」


そして、今日の分を返してもらうぞ、と囁きました。


彼の唇がそうっと触れた頬から、先日のように何かが流れだすような感覚に、わたしは、また、瞳を閉ざしました。


地上を吹き抜けた風が、ざわり、と木々を揺らしながら、空へ向かって駆け上がっていきます。


吹き付けてきた、その突風に、わたしは更に強く瞼を閉じました。