少しだけ眩しそうに顔をしかめた、彼にわたしは頬擦りをして言いました。


「貴方が初めて訪ねて来た、あの日の唄のような景色ね。」


それに同意を示すものなのか、くふん、と鼻をならした貴方を、わたしはカーディガンの内へとくるみ。


そうして。


あの唄を。


その調べを。


わたしという楽器で奏で始めたのでした。




「菜の花畑に 入り日薄れ………」






明日という日の来ることを貴方と待つことができる幸せを胸に。





そうして今日も。




月は東に


   日は西に





     花惜月 了