抱きしめた皎のさらさらと流れる黒く艶光る髪に頬を寄せながら、わたしは言いました。


わたしにされるがままに、そのままの体勢で沈黙を友としていた皎は、しばらく経ってからポツリと小さな声で呟きました。


「………まだ急には、そんな風に考えられはしないが………俺のために、それだけの言葉を紡いでくれて。
………ありがとう。」


照れているのか、表情を見せずに俯いたままで告げる皎の謝礼の言葉は、わたしにとってどんな賞状に書いてある言葉よりも上等で、かけがえのないものでした。