「何度も言ってやったんだ。
運命なんかじゃないって。
ただの偶然なんだって。
だから、忘れてしまえ。
そして、戻ってこいって。」


おそらくソウがその存在を消してしまうまでに、皎は何度も何度も彼のもとを訪れたのでしょう。


そして言葉を尽くし、月の光を与えようとし、出来うる術の全てを試してみたのでしょう。


けれど。


ソウには皎の言葉は届かなかったのです。


なぜなら、ソウは囚われていたから。


そう。


恋という名のどんな魔法よりも強力な魔法に、その心も身体も。


いいえ。


存在の全てを絡めとられていたのでしょう。