ふたりが翔ぶはずだった夜空に、ソウの声なき声が響き渡った。


聞く者の胸に痛みを残すほどに悲痛なその声は、いつまでも止むことはなく。


ソウの嘆きは皆の知るところとなった。


昼も夜もなく。


ただ、嘆きの声を上げ続けるソウは、幾度仲間が連れ戻そうとしても、少女だったモノがあるその場所を動こうとはせず。


月の光を受けとることもせず。


ただ。


そこで嘆いていただけだった。





やがて。


月の光を取り込んでいないソウの存在は薄れてゆき。


少女だったモノの痕跡が消え去ったある日。


そこには、ソウの姿はなく。


ただ。


一陣の風が吹いていただけだった。