軽やかに地を蹴った少女の身体は、ソウに導かれて。


本来であれば翼無き身には許されぬ筈の飛翔を始めた。


月の光を過分に取り込んだその身体は、ソウの手を取っただけで重力の枷を逃れてふわり、と浮き上がる。


そして、ただ。


ただ、ソウの姿だけをその瞳に映して。


飛び立つ筈の少女は。





振り返ってしまった。


自分が離れようとしている世界を。





そして。





魔法が途切れたのはその瞬間だった。