あのふたりが出逢ったのは、よくある偶然のひとつに過ぎなかった。


月の使いであるソウと、月の光を取り込みすぎるほどに、満月の光を浴びていた少女。


よくある話のひとつに過ぎなくて。


誰も、その先にある結末を予想できてはいなかった。


そう。


当人達でさえ。





ふたりの軌跡が交差したその夜。


俺達はソウが少女から月の光を返してもらって帰ってくる、そう信じて疑わなかった。


しくじることなんてありえない、真面目でおとなしい奴だったから。