「………それでも、愛してしまったんだ。
………っと。」


ふう、と息を吐いてようやく出来上がった原稿を置き、わたしは強ばった肩を揉みほぐしながら小さなあくびをひとつ、ほふっと生み出しました。


締切ギリギリではありますが、なんとか原稿も出来上がり今まで集中していた気持ちが、ほろほろとほどけていくようです。


わたしは腕を伸ばし大きく伸びをした後、取り揃えただけの原稿の上に葡萄の蔦が絡まる窓枠を模した形の青銅のペーパーウエイトを載せて、窓辺へと歩み寄りました。