たまらず教室を飛び出した。
聞こえてくる声。



『前川、彼女追いかけろよ』



『か、彼女じゃねえよっ』


『なんだよ、やっぱ本気じゃなかったのか』



『あ、当たり前だろ。可愛くなってたから声かけただけ』



『お前もやるなあ。ま、相手が篠田先輩じゃあな』




――わかってた。

わかってる、つもりだった。

だけど、なんで?


涙が止まらないよ―…




『吉沢ってアンタ?顔貸しな』



(ビク―…)


先輩学年の、女の子。

連れて行かれた、裏庭。


(もう、いいや…)



『分かってんだろっ』



(もう、どうなったって…)