夜の住宅街は驚くほど静かで。



『綺麗じゃん』



ちょっと照れたような先輩の言葉が、くすぐったい。


『ほんと…?』



『ああ。それに…』



グッ、あたしを引き寄せて言う。



『イイ香り』



『あ…香水…かな』



『ふぅん』



『あのっ…』



(ドキン…ドキン…)



『ズルいよな。お前』



『なに、が―…』



(――…っ!?)


あっという間に路地に引っ張られて。

先輩の唇と重なった。


(リップ塗ったばっかり…)


『……っん…』



でも、どうだってイイ

先輩とこうしたいって

本気で思うあたしがいる



『…せ…っぱ…い』



『マコトだよ』