「も大丈夫」



口についた水をハンカチで拭きながら振り返ると後ろにいたシエナが頷いて私に手を差し出した。



「じゃあ行くわよ」



差し出された手を握る。

歩き出したシエナに私は「お母さんみたい」と言ってみた。


若いお母さんだよねシエナ


シエナを見てみると、少し笑顔がひきつっていた。



「若いお母さんだよ?」

「別に……なんでもいいわ」


シエナはただ前を見据えて歩く。




ほら、こんな時だってシエナは私と歩調合わせてくれてさ

お母さんだよ本当

優しい優しいお母さん




そんなシエナの手を握り直して私も前に向き直る。

シンもシチも心配してるよね


早く戻らなきゃ