「シンもシチも凄い心配してる」



茂みから馬車の方を指差したシエナ
合わせて私も顔を向けると騎士達が随分と私を探していて凄く申し訳ない気分になった。




そうだ、まだ時間経ってないけど私は今、王子なんだよね



「……ごめんなさい、私、王子であることを忘れてた」


そう言ってシエナを見上げると、シエナは深いため息を落とした。



「王子とかじゃない。
シンもシチも君花を心配してるのよ」

「私?」



コクりと頷くと、シエナは私の手をひいて歩き出した。



「……とりあえず口濯ごう、吐いたから気持ち悪いでしょう?」

「うん」



頷くけど、シエナの体温に気を取られていた。

手に伝わるシエナの体温