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シンが手を伸ばして待っている。


時間になった私は、ついさきほどお城から馬車に乗り込んで広場に向かった


のだが、



「…………ぅっぷ」



酔った。果てしなく酔った。



「大丈夫?」




可愛い顔して馬車の外から心配してくれてるシチに、笑顔を繕って見せた。



「ちょっと酔っただけだから

まだ演劇まで時間あるよね?」

「あるよ」

「じゃあ私ちょっとここで落ち着いてていい?」




シンは頷くと、シチを馬車に入れた。


「シチ、君花を頼んだ」

「わかった」



パタンと馬車の扉が閉まって、しめた。と寝転がった。


「速っ。そんなにしんどかったん!?」

「だって馬車初めて乗ったし
こんなに揺れるとは思わないよー」