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黒く闇に広がる大海原に、骸骨の描かれた海賊旗が風に靡く。

港には沢山の船が止まっていて、その中でも目立つ海賊船にロウは高く飛び、乗り込む。

「キャプテン!!」

見事に決まるはずだったのだろうが、見事ロウは足を滑らせ私共々網に身ごと飛び込んでしまった。


太い綱で編まれた網に至るところを絡まされ、脱力してもう体一つ動かない。

何度逃げようとためしても、ロウは全く離してくれずに私から“逃げる”という意志を取り除いてしまうようだった。


「いてててι」

ロウがもがくと同じ網にいる私まで絡まる。

「痛い。」

「………悪い悪いι」


私が機嫌を損ねたと知ってかロウは船員に目で合図して丁寧に私を網から抜け出してくれた。


「錨を上げろ出発だ!!」


ロウも網から抜け出て私の腕を掴みながら甲板に立つと海賊旗を指差しながら言い放った。それにあわせて船員達がそれぞれ動き出す。

見えているだけで100名はいるであろうその数に圧倒されながらも掴まれた腕に虫酸が走ってロウの手を振り払った。