「………」


どちらも視線だけ絡ませて黙り込む。

その間、私はアレンを思い出していた。


三つの願いの一つに、父である国王の命を取ると考えたアレン。

私が願う、自分のためだけの“元の世界に帰る”という願いは、アレンとの約束と違う。


誰も悲しまない願い、そう誓ったはずなのに、全く自分の事だけを考えて、私はそれに頷いた。



自分にそう、わかってると言い聞かしても

私の中で願いをやめる事が出来なかった。


誰かに相談すればいいのに、この胸の内を相談することでとてつもなく傷付く気がした。


ため息さえ落ちかけるこの二人だけの静かな部屋。窓は外の物音を遮断し、オリビアの夜の活気を無いものとした。



「……………くっ」



先に動いたのはシエナだった。まるで苦しむように発せられた呻きは、次の瞬間、


「あっはっはっはっはっはっはっは!!!!」



大爆笑と化し、私の目を点にした。
もう私の脇役キャラは決定だ。