「触れないの?」


首を傾げ聞くとシエナは艶っぽく笑って私から手を離した。

自由になる体。少しの戸惑いが顔に出たようで、私は眉を潜める。



「そんなに触って欲しいんだ?
同じこと言うようだけど、私は女に興味はないわ。ただ困った君花が面白いから」



嘘か本当かなんてシエナの綺麗な表情からはわからない。

触れないの?

なんて、シエナを試すために言った言葉に過ぎないのに、本気で強張った私は本当に馬鹿みたい。


全く勝てない勝ち目はない。


そんなに困った顔が好きなら見せてやる!!なんて強気は、ただ私がシエナの戸惑った表情を見たかっただけ。


それなのにシエナは戸惑いもせずにその言葉に合わせて私をからかうばかり。



シエナを見る私の目はいつの間にかシエナの唇をうつしていた。