「……いいの…?触れても」

まるで囲うように私を見下ろすシエナの回りに纏わりつく雰囲気は、男


もう見れない。


シエナと視線を絡ますことさえ出来なくて下を見るとシエナの片方の手が私の顎を固定した。


「むかーしむかし」

「……………?」


何か絶対されると身構えたのに、シエナの口から出てきた言葉は、「今からお話しだー」と、小さい時の自分が何故かはしゃぎたてたその言葉。

むかーしむかし。なんて、TPO、時と場所と場合に反してる。



白目をむきかけたのは必死に抑えて戸惑いつつシエナと再び視線を絡ませた。



「東の国オリビアには美しく大きく荘厳なお城がありました」


なおもシエナは話しを続ける。
いったい何が始まるのかと、私はシエナの言葉一つ一つ聞き逃さないように聞いた。