「そんなこと」


呆れたように呟いたシエナの声に私は口をつぐんだ。息さえもしてるかしてないかわからないこの胸をいっぱいにする感情。



「何が知りたいの?」



シエナはベッドから立ち上がり一歩一歩私に近付いてきた。


あと二歩。
シエナと私の距離はあと二歩となり、私は一歩後ずさった。


怖さのせいか
躊躇いのせいか


「ねぇ、本気で避けないでくれる?別にあたし変な意味であんたに触ったわけじゃない」



ペタリと背中に壁が当たった。シエナは一歩近付き私の額に人差し指を立てる。


「あんたの困った顔が見てて面白かったから」

「んなっ」



ベッと舌を出してゴツンとシエナはその人差し指で私を小突いて、私はその指を掴んでシエナを睨むしか出来なかった。

凄く悩んだ。
考えて考えて考えた。

それなのに、私の困った顔が見てたいだなんて、なんだそのサディスティックな思想は!!