「え?」


あっ

魔法をかけられちゃったみたい。不意討ちはまだ駄目なんだな


視界が揺らいで思考さえも閉ざされた。



起きながらにして睡眠状態なのらしい。



ドサッとベッドに寝かされて、虚ろな目を開けた。



「………っ…シエナを呼んじゃ駄目かもな」



そんな声が聞こえたけど多分気のせい。
だって夜陰の話し方じゃなかったし。



「5分もしたらとけるよ。そしたらシエナが人魚伝説について話してくれるから」


最後に聞こえたのも、きっと気のせい。


***


ポリポリと頬をかきながらベッドで眠る君花を見た。

いまさっき夜陰にシエナはこの部屋に強制連行されたのだ。


夜陰はシエナを部屋に押し込めるとそのまま少し町に出ると行ってしまった。




部屋に2人きりになったのは5日以上ぶりだ。


というより、シエナは君花に避けられていた。