正体のわからない何かが茂みのどこかに潜んでいる。
私は肩を抱いてその場にしゃがみ込んでしまった。



どうしよう。という状況に息さえ出来ない。



「ギャンッ!!」


この上無く悲鳴に近い声に目を閉じ耳を押さえた。



助けて


ガサッと茂みが開かれてそれは私の前に現れた。



シエナ!!シエナでいいから助けてよ!!



「あんた馬鹿じゃないの!?」

「え……?」



呆れた声、顔を上げてもまだ私の視界は暗かった。

ギュッと抱き締められたのだ。



目の前にはシエナの胸

背中に回された逞しい腕



シエナの馬鹿

いくら綺麗だからって女言葉だって


男なんじゃないか



「もお。本当に馬鹿女」