「ありがとうございます」
クロムは私の肩に手をついて、膝の上で二本立ちをする。
私はただその様子を見ながら戸惑っていた。
ただクロムが膝の上から落ちないように手を左右に出していつでも庇えるようにするだけ。
クロムは私の鼻に、冷たいクロムの鼻をくっつけて笑った。
「今から人間に変身するから、それを食い止めてね」
「え!?ちょっ」
食い止めてねってどういうこと!?
アワアワしてると辺りがボワンと煙りに包まれてしまった。
そして目の前にはさっきの赤髪の、クロムの姿。
今にもキスしそうで、クロムの足は床にきちんとついていた。
「駄目だったね、まあ訓練だよ」
「退いてくれない?猫さん」