そのプレゼントはキーボードで、特設のコーナーにその曲が入っていた。
森の動物達が可愛らしく飾られた初めての鍵盤楽器
ジングルベルや汽車ポッポの次に入っていたその曲
『ノクターン作品9ー2』
子供には不思議で仕方なかった曲。
どこか知らない街に引きずり込まれたようなそんな曲。
Cの鍵盤を押すと一気に続きを歩くように弾いた。
ショパンは嫌い
やけにキラキラしてるから、だけどこの曲は好き
クロムは譜面置きの場所にきちんと腰掛けノクターンに聞き入っていた。
「あの曲は何だろう」
「さあ聞いたことないね」
そんな他人の声に思わず頷きそうだったシエナは、夜陰と共に君花の演奏に聞き入った。