「イイケド」



なんでそんなあの狐目で見られたんだろうと思いながら笑顔でお礼を言う。



「忙しいカラ少しダケネ」

「うん。ありがとうございます」



久々のピアノとあって、いつもよりワクワクしていた。弾くのさえ嫌だったこてもあるのに



ピアノの元に駆け寄ると、弾いていたのはネズミ。
私は出掛けた手を引っ込めた。

「ちょっとかわってくださいな」



どう話かけたらいいのかもわからないでいると、クロムがピアノの上に乗って言ってくれた。さすが猫。

ネズミは一目散にどこかにいってしまった。


「なんだか悪いな。でもありがとうクロム」

「なんてことないさ」



真っ黒なグランドピアノ

鍵盤も綺麗に並んでる。



椅子に座ると鍵盤に手を置いた。

じゃあ一曲。
私が生まれて初めて聞いた曲。