徒歩と初めて聞いた時は何ら心配はなかった。それが今では何だ、


城から山脈までの道のりを馬で飛ばしても6時間以上かかったことになる。



「無理するなよ?」

「うん…ううん。無理ぐらいやらなきゃ駄目だよ。ただの旅行じゃないんだから」


うん。と頷くと、シンはフワリと笑った。


「君花らしいよ」



クシャリと髪を撫でられて顔がボッと赤くなるのがわかった。


「戻ろう。そろそろ出発だろうし」

「うん」



顔が赤いのバレたかな?
どうしよう。恥ずかしい。

シンの一歩後ろに下がって顔を見られないようについていく。シンは優しく手を差しのべてくれたけど、その手を握り返すことなんて私には出来なかった。