「待って、入るの?」


頷いた夜陰の手を掴んでシエナは首を振った。


「今はやめて」

「……醜イ独占欲ダね」



何を言われても今は、今は良かった。ただ、君花が“男”と認識する夜陰に今、君花を見られたくなかった。



「独占欲だなんて、やめてよ。ただ今はやめて欲しいの」

「何をソンナに心配シてる?」

「別に?何も」



シエナはこれ以上夜陰と居るといつか墓穴をほるはめになると夜陰から手を離した。


「…君花の半径2m以内に入らないでね」


すでに墓穴を掘っているなんて気付かずに。


***


日付がかわった。
シンデレラなら魔法がとけてしまう。


早く城から逃げなければならない。
もちろんガラスの靴は片方残して。