「なななかに着てた制服のボタンがとれかけててっ
縫ってたらシエナが来たんだよ」

「っ、風邪ひくでしょうが!」


シエナは上着を脱いで私の肩にかけた。


「あんた普通よりずっと体温ひくいんだから」

「ごめん……」



まるで今の事が無かったように振る舞うシエナに私も合わせて振る舞う努力をする。



「…じゃ、私行くわ。
日付が替わったら出発だから、暖かい格好してなさいね」

「うん」



シエナは私と視線を絡ませて、それから下を向いて部屋を出ていった。



「………はぁ」


自然と漏れた溜め息に部屋が静かになったことが妙に寂しくて、

でもさっきのシエナの囁きが耳に残っていて、身がまた熱くなる。