何度も角度をかえる口付けをして、自然と漏れた声にシエナは私から唇を少し離した。

空気を吸い込むと、シエナは私の目を見た。


私はずっとシエナの目を見てた。

それなのにシエナは口付けをしている間目をつむっていたし、さっきだって私の目を見なかった。

シエナと視線が合わないなんて、無かったのに



それに気付いて心にモヤモヤが出てきた。これは何なのか、シエナに聞けばわかる?誰に聞けばわかる?



「…嫌じゃないの?あんた」

「嫌。すごく嫌。」



シエナは困ったような表情をしながら私から手を離した。


「なら抵抗しなさいよ。国王の時みたいに」

「嫌なのはシエナと目が合わないこと。
確かにキスは嫌だったけど国王の時みたいに体の奥底からの恐怖はなかった。」