でもあの時よりずっと痛かったおでこを抑えていると、今度は私がシエナに手を掴まれた。


キッとシエナを睨む。
すぐに振り払おうと手に力を込めたけれどビクともしない。



「シエナっ」



手がソファーに押し付けられて、視界に天井が入ってきて、仰向けになったことがわかったけれど、今の状況はよく分からなかった。


「離してよ馬鹿!!」

「本気で頭突かないでよ馬鹿女」

「なっ」

シエナは私にズイッと顔を近付けた。
そのせいで言葉が出ない。


「お返しよ」



そう呟いたシエナはそのまま私の唇に口付けた。


私は目を見開いてシエナの行動の一つ一つに涙がでそうになるのを必死に堪える。


嫌っ
嫌だ!!