ポタッとふわふわのカーペットに私の涙が落ちた。




「もといた世界。

とか言っていたな。そなたはこの世界のものではないのか」




王子の手がこそばくて俯く。



「気付いたらここにいて

本当は学校にいて
こんなところじゃなくて」



なんて言ったらわからない

何度拭っても涙は止まらなくて


初めて会う人の前でなんて泣きたくなかったから王子に背を向けた。




「どうしたらいいかもわからない

私はっ
私はただ楽譜を見てただけなのに」





次に感じたのは優しい感触だった。


「王子には敬語を」



白いタオル。


顔を上げると無表情の兵士がいた。




「構わないよ。同じ顔してるのに敬語使われたら気持ち悪いしね」




ポンッと後ろにいる王子が私の肩に手をおいた。