「待て」



私を部屋の外に連れていこうとした兵士の動きが止まった。




「お前は、何故黒い瞳を持つ」



明らかに私に向かっての言葉に王子を見た。



本当にそっくり。瓜二つだわ




「日本人は皆そうですよ?」



当たり前のことを言うと、王子の表情が緩んだ気がした。



「まあ正確には茶色なんですけどー」

「そなたは日本人なのか」

「あなたは違うの?」




こんなにそっくりなのに?



「わらわはフィナンシェの出身だ」


フィナンシェ?



フィナンシェ?





「フィナンシェ!?」



フィナンシェって、楽譜の名前!!



「この世界で黒き瞳を持ち黒き髪を持つのはわらわだけ」



少し寂しそうに王子が言った。