―自室で自分の通帳を広げてみる。

かなりの大金だ。

もうおこづかいを親から貰う必要が無いくらいの金額。

…なのに心はちっとも浮かばない。

思うのは彼のことばかり。

でも冷静な自分がいて、もう彼がオレを必要としていないことを分かってしまっていた。

笑顔の彼から言われることは、学校のこと、友達のこと、ご両親のことばかり。

…思い起こせば、オレのことなんて一度も言っていない。

側にいるのが当たり前だったから、言わなかっただけかもしれないけど…。

最後に、聞けば良かった。

その答えが『弟』でも『親友』でも良い。

彼にオレ自身をどう思っていたのか、聞きたかった。