恋の生い立ちの
話をされたとき、
俺はただ怒って
母さんに怒鳴り散らし
もう車椅子だった父さんに
殴りかかった。
薄々気付いていた自分も
同罪なのに…。

話を聞いて父さんたちが
どれだけ恋を大切に
思っているか理解できたのに。
俺は逃げたかったのかもしれない。
家族から、恋から、
何も出来なかった自分から…。




──…やめて。


か細い声は

恋のものだった。