父さんはちゃんと
覚えていたのか。
今日の日の事を。

自分を不甲斐なく感じた。

「大丈夫、落ち着いてるよ。だからそんな心配そうな顔しなくていい。」


そうかと安心したように
呟いた父さん。
どーせまだ、恋を
ここで待つんだと思い
リビングへと向かう。


「…愛。」


良く通る低温で
呼び止められた。


「なに?どうかした?」


「ありがとう。」


笑みを溢してそう言った。


「…普通だろ。」


一瞬、なんのことだか
分からなかったけど
すぐに合点がついて
返事をして、その場を後にした。